2070年には「74歳定年」に

 デンマークのメッテ・フレデリクセン首相(社会民主党)も「もはや定年を自動的に引き上げるべきだとは考えていない。もう1年長く働いてと言い続けることはできない」と「定年70歳」が実際に導入された時点で平均寿命に連動した定年スライド制を見直す方針を示した。

 デンマークの平均寿命は1900年に51.9歳だったが、医療の進歩、公衆衛生の改善で2013年に80.3歳、その後コロナ危機により2年連続で縮んだものの、2023年には81.85歳にまで延びた。このペースだと公的年金の受給年齢は2070年までに74歳に引き上げられる可能性がある。

 コペンハーゲン・ビジネス・スクール年金研究所によると、30歳の未熟練男性の平均寿命は76.1歳。同年齢の学者は83.7歳だ。非熟練労働者の平均寿命は学者より7.6年も短かった。基礎的な教育しか受けていない女性は80.5歳、大学卒の女性は86歳と5.5歳の差があった。

 ビール醸造所の労働者アルネ・ユール氏の名前にちなんで「アルネ年金」と呼ばれる早期退職制度で42年以上働いた労働者は公的年金の受給年齢に達する前に早期退職して年金を受け取ることができるようになった。社会民主党が主導して2021年8月に導入した。