エチレン製造設備はさらなる稼働停止も

 昨年の国内エチレン生産量は1987年以来、37年ぶりに500万トンを下回った。石化産業は14年から16年にかけて3基のエチレン製造設備を停止。現在は12基体制にあるが、低稼働が続けばさらなる停止が視野に入る。

 セメントに至っては24年度の内需が3265万6000トンと、バブル景気のピークだった1990年度(8628万6000トン)の4割弱まで落ち込んだ。水準としては1960年代半ばの水準に逆戻りした。

 ここまで、急減する素材の国内需要について列挙してきたが、それは経済の成熟や産業転換で片付けられないものがある。トランプ政権の政策で製造業が米国への投資を加速すれば国内生産は回帰どころか減少が加速しかねない。

 余剰になった国内設備は淘汰を迫られる。国内商品市況の変調が示す懸念は景気の腰折れだけでなく、構造変化にも及ぶ。