いつまでも仲睦まじく
また新年になれば正月2日の一般参賀にお出ましになられるので、私は皇太子・皇太子妃時代、天皇・皇后時代のお二人を撮影する機会が何度かあった。一般参賀のときに目にする美智子さまはいつも控えめで、いつも殿下・陛下をそっと支えられていた。

それどころか、美智子さまは身を挺して陛下を守られたこともあった。
お二人が皇太子・皇太子妃時代の1975年、沖縄を訪問されたが、そのとき、ひめゆりの塔に献花された際、隠れていた赤ヘルメットを被った新左翼の二人に火炎瓶を投げつけられるという事件があった。一同が退避する中、美智子さまは皇太子殿下の背中を守るようにして退避されたのだった。
また天皇皇后となられていた両陛下が1992年10月の山形県で開かれた「べにばな国体」の開会式に出席され、天皇陛下がおことばを述べられている最中に、会場となっていた陸上競技場のトラックに飛び出した活動家が、両陛下がいらっしゃるロイヤルボックスに向かって発煙筒を投げつける事件が起きた。このときも美智子さまは陛下に危害が及ばないよう、陛下の前にさっと手を伸ばしたのだった。
一般大衆の中に入られていくということには、時にそのような危害が及ぶ危険性が伴う。それでもお二人は皇太子皇太子妃の時代から、天皇皇后、上皇上皇后の時代まで、国民に寄り添う姿勢を貫いてきた。

特に被災地を訪問されたときには、両陛下は避難所に逃れてきた住民の前で、床に膝をつき同じ目線で語り掛け、励ましの言葉をかけてきた。これはそれまでの皇族にはなかった行動だ。両陛下は、われわれに新しい夫婦像・家族像を示しつつ、新しい皇室の形をも作ってこられた。
上皇陛下は現在91歳、美智子さまは90歳。いつまでも仲睦まじい姿を見せていただきたいものである。