自動車各社が相次ぎEV戦略を見直し
マルチパスウェイとは、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、バッテリーEV、燃料電池車に加えて、ガソリン車やディーゼル車のエンジン小型化やカーボンニュートラル燃料の活用など、各種パワートレインを国や地域の社会事情に応じて使い分けるという事業方針である。
次世代バッテリーEVについては、構造と設計の合理化と、ソフトウェアを主体とするSDV(ソフトウェア・デファインド・ビークル)の牽引役と位置付けた。

加えて、バッテリーEVに関わるエコシステムの構築にも力を注ぐ。充電ステーションなどのインフラ、電池回収やリユース、そして再生材の活用やレアメタル削減など材料の適正化を循環させる仕組みである。自動車産業の枠を越えた協調をさらに強化する。
また、トヨタとバッテリーEV事業で協業するスバルは2025年3月期の決算発表の際、大崎篤社長がこれまで掲げてきた「めど」である、2030年のバッテリーEV50%という数字に対して「状況を見ながら柔軟に変えていくフェーズ」とし、事実上撤回している。
それでも、2025年度は群馬県矢島工場でバッテリーEVと他モデルを混流する新規ラインを立ち上げる予定であり、中長期的なEVシフトに対するSUBARUとしての企業姿勢に変化はないと説明した。
そのほか、三菱自動車の加藤隆雄社長は通期決算報告で、自社開発バッテリーEV2モデル導入計画を棚上げし、その代わりとして北米市場では日産「リーフ」の兄弟車を2026年から、またオセアニアでは台湾鴻池科技集団(ホンハイ)が企画製造する小型車「Model B」をベースとしたバッテリーEVも2026年から市場導入することを明らかにした。
さらに、ホンダの三部敏宏社長は、ホンダの主力市場である北米市場でのEVシフトの動きが、ホンダの当初見込みに対して「5年遅れている」という見解を示している。
このように日系自動車メーカー各社トップが、EV踊り場をはっきりと認め、経営方針の修正に入った。
その背景について、要点をまとめてみたい。