お客様とダイレクトにつながる農業が必須

 この3つの方向性を考えると、従来の市場出荷型の農業ではなく、お客様と直接つながる農業、たとえば直売、通販、宅配、観光農園などが候補にあがる。いずれにしろJAや卸売業者を通して売るのではなく、ダイレクトにお客様に販売することが必須だし、これからの時代に合っている。

 ゼロから販路を自分でつくりあげることは、容易なことではないが、乗り越えなければならないハードルだし、その先に自分と農業の明るい未来が待っているような気がした。

 いろいろ考えていくと、自分のやりたい農業は2つに絞られてきた。有機農業で多品目の野菜を栽培して通販・宅配するか、あるいはフルーツを栽培する観光農園だ。時代はモノ消費からコト消費へ変わりつつあり、体験型の観光農園はヒットするような可能性を感じていた。

 一方、有機農業をめざしてサラリーマンを辞め、農業の世界に飛び込むような人は、いわゆる“意識高い系”と言われる人が多い。その気持ちはよくわかる。民間企業でサラリーマンをしていると、売上至上主義や利益最優先の会社のあり方に、ホトホト嫌気がさすことは、誰でも何回となくあることだ。

 私もオーガニックの世界にあこがれがあった。退職後に通った農業大学校では限界を感じていたので、長野、山梨、三重の有名な有機農業、自然農法の農家や研修所に合宿しながら学んだ。