防衛省は、領空侵犯の事実だけを極めて簡単に公表しています。通常、こうした事案で詳細を発表する統合幕僚監部は、5日12時30分現在、情報がありません。
今回の事案は、明らかに中国側のエスカレーションです。サラミ戦術と言うには大きく切り取り過ぎです。日本政府は、強硬な反応を示すべき事案なのですが、石破総理は、それを認識していないようです。
中国の意図は不明
今回の事案が、意図的なものなのかは不明です。意図的であるならば、石垣島を飛び立った民間機が関係している可能性もあり、日本国内に中国の協力者がいることになるため、別の問題としても深刻です。
発生したのが憲法記念日であるため、中国がこの日を狙って事案を引き起こした可能性がありますが、その一方で領空侵犯およびヘリの飛行は15分間に過ぎず、離陸したものの慌てて着艦したようにも思えます。
今得られている情報では、どちらとも言えません。
日本が今後とるべき措置
中国の意図は不明確ながら、実効支配が揺らぐため、同種の事案発生は厳に阻止しなければなりません。
しかしながら、物理的に領空侵犯を阻止することには困難が多くあります。
まずもって、領空侵犯発生の事実を知ることが難しい。今回、海保からの通報でスクランブルに至っていますが、艦載ヘリの離陸を即座にレーダーで探知することは、地球が球形であることから不可能です。地上レーダー(至近は170キロメートル以上も離れた宮古島)から見た場合、艦載ヘリが水平線の下に入ってしまうためです。
今回、海保と航空自衛隊は、何らかの協力関係があったと思われますが、今後も中国船を監視する海保との協力が欠かせません。