韓国内政の混乱に嫌気さす世論
韓悳洙代行の辞任2時間後に、後任の大統領代行を務めるはずであった崔相穆副首相兼経済財政相も、共に民主党が国会本会議に自身の弾劾訴追案を上程したことを受け、辞任した。
これを受け、李周浩(イ・ジュホ)社会副首相兼教育部長官が代行を務めることになった。李氏は「国政の空白や混乱が起きないよう政府が最善を尽くすべき」と強調した。
米国との関税交渉など課題が内外に山積する中、首相と経済副首相が不在となり、混乱に拍車がかかっている。韓国国民は内政の混乱に辟易しているはずである。
尹錫悦大統領弾劾の発端となったのは非常戒厳の宣布であるが、もともとは共に民主党による閣僚等への弾劾の乱用、予算・法案での政府との妥協の拒否である。それがさらに明白になったのが韓悳洙首相らに対する弾劾であり、それらの弾劾案はいずれも棄却されている。
これだけ韓国内政の混乱が激化し、そこで大統領選が行われようとしている中で、共に民主党は経済副首相を弾劾する法案を提出するなど国政の混乱に一層の拍車をかけている。米国との関税交渉は低迷する韓国経済にとって重大懸案であるが、それを無視したまま国政の混乱を助長すれば、いかに李氏が次の大統領選の課題として「内乱克服、経済回復、国民統合」を国民に約束しても中道層の納得を得ることはできないだろう。
内政の安定を無視する政党には国政を任せられない、との雰囲気が醸成されるのではないか。
韓悳洙氏は、出馬表明の記者会見で「政治の争いが危険な水準に達している」「通商や外交までを政争の材料とする現実はわたくしの良心と常識では納得できない」とした。そして米国の関税措置との関連では「通商交渉はわたくしに任せてほしい。必ず解決してみせる」と自信を滲ませた。
「李在明氏独走」とみられた大統領選挙は、急速に混戦模様に変わりつつある。