若手たちを起用した藤本壮介氏の慧眼、それなら…
…と、これで全20施設をリポートした。いかがだっただろうか。パビリオンではないトイレやら休憩所やらで1日楽しめる。SNSで騒がれていたものについては、「それって実際どうなの?」という楽しみ方もできる(当事者には申し訳ないが)。
パビリオン以外の“付属施設”を横切りで見て回る楽しさというのは、少なくとも日本の博覧会(万博以外も含む)ではかつてなかった楽しみ方だと思う。そして、初期の「くまもとアートポリス」がそうであったように、ここで起用された若手たちはきっと今後、国内外で活躍するに違いない。「ああ、あのときのトイレ(あるいは休憩所)を設計した人か」と思うときがきっと来る。それは、それぞれの建築のクオリティを見れば断言できる。

海側エリアの記事で「若手建築家たちをトイレや休憩所に起用した会場デザインプロデューサーの藤本壮介氏を筆者は高く評価している(あくまでこの件についてではあるが)」と、もったいぶって書いた。カッコ内で何を言いたかったかというと、公募で選ばれた若手たちがこんなにチャレンジするならば、大屋根リングこそ公募で設計者を選ぶべきだったと筆者は思うのである。

大屋根リングは決して、がっかり建築ではない。しかし、これについて書こうとしても、筆者には「大きい木造」「景色がいい」くらいしか書くことができない。チャレンジの選択はいくらでもあったはずで、“その先”が見たかったと思うのである。
それもあくまで筆者の感想なので、あなたがどう感じるか、ぜひご自身で体験していただきたい。

◎本稿は、建築ネットマガジン「BUNGA NET」に掲載された記事を再編集し、転載したものです。