米商務長官「トランプ氏の目標は半導体チップ製造の米国回帰」

 トランプ氏は「1000億ドルの新たな投資はアリゾナ州に5つの最先端製造施設を建設するために当てられる。TSMCの投資総額は約1650億ドルに達する」と胸を張った。ホワイトハウスはトランプ大統領の就任以来、米国内での投資をほぼ2兆ドル確保したと強調した。

 既存のチップ工場に加え、3つの新たな工場、さらに2つの先進パッケージング工場と研究開発施設を建設する。ハワード・ルトニック米商務長官は「トランプ大統領は半導体チップの製造を米国に回帰させることを基本的な目標としてきた」とトランプ氏の成果をアピールした。

『半導体戦争―世界最重要テクノロジーをめぐる国家間の攻防』(邦訳:ダイヤモンド社)の著者クリス・ミラー氏は英紙フィナンシャル・タイムズへの寄稿(3月6日付)で「TSMCがトランプ氏の支持を維持する試みはリスクを伴う」と指摘する。

「TSMCの投資は台湾と韓国に次ぐ先進チップ製造の主要プレイヤーとしての米国の地位を確固たるものにする。TSMCの顧客である米チップ設計大手のエヌビディア、アップル、AMDなどは、製造拠点の地理的多様化を歓迎するだろう」とミラー氏は解説する。