昨今は大人をターゲットに。市場も拡大

 玩具企画製造のハピネット(東京都台東区)は今年25年の1~2月、20歳以上の男女4405人を対象に「カプセルトイの需要実態調査」を実施しました。それによると、カプセルトイを「子供の頃購入したことがあり、大人になってからも購入している」と答えた人は全体の26.8%、「子供の頃購入したことはないが、大人になってから購入している」も8.2%に上りました。

 大人のおよそ3割がカプセルトイを購入していることになります。

 また、カプセルトイの購入経験がある15歳未満も対象に加えた上で「一度の購入機会で使う平均金額」を尋ねた設問では、年齢層「20〜29歳」の男性で25.9%、女性で26.8%が1000円以上を使うと回答しました。

 比較的自由に使えるお金の多い大人がメインターゲットとなったことで、市場も急激な伸びを見せています。

 カプセルトイメーカーなどでつくる一般社団法人・日本カプセルトイ協会(JACTA)が3年前から実施している市場動向調査によると、製造元出荷ベースで2022年度に約720億円だった市場規模はその後、順調に拡大しています。2023年度に約1150億円、2024年度には約1410億円。この3年でおよそ2倍になりました。

図:フロントラインプレス作成

 JACTAの調査によると、拡大要因の1つには新型コロナウイルスの流行拡大があったとされています。大型商業施設などでテナント退去に伴う空き区画があちこちで発生。そこへカプセルトイ専門店の出店が相次いだことで、「購入機会が増えたことが大きな要因」となりました。

 さらに、物価上昇が続く中、他の玩具や雑貨に比べて1回200〜300円程度という比較的手頃な価格設定がカプセルトイへの購買意欲を高めたと指摘。ターゲットが大人にシフトしたほか、購入者によるSNSへの投稿が商品認知の高まりに寄与したことも市場拡大の要因と分析しています。

 JACTAが今年2月に公表した最新の調査報告によると、2024年度には新商品のリリースが毎月700種類、前年度比1.4倍になったそうです。ただ、円安や原油高のあおりを受けて、200円商品はほとんど姿を消しました。そうした事情も踏まえ、JACTA は2025年度の動向について「市場規模がさらに増加する反面、収益性の悪化による専門店の撤退も始まる」と予測。カプセルトイ市場は拡大期から成熟期に転換するのではないかと指摘しています。