百年単位のETF出口戦略で検討すべきこと

 また、この処分策を過てば、終戦後の証券民主化が失敗に終わったように、資産運用立国への道も閉ざされる恐れがある。せっかく貯蓄から投資に踏み出した個人投資家も、失敗を恐れて躊躇するはず。

 投資を続けたとしても、人気の高い海外株式へと資金がさらに流出し、株式市場でのキャピタル・フライト(資本逃避)が加速するだけに注意が必要である。時論に流されないように、長期的戦略に立ったソリューションが求められているのである。

 その際に注意すべき点は、金融政策の目的である物価の安定と、出口戦略であるETF処分の整合性が取れなく可能性であろう。

 インフレ率を引き上げる目的の手段として、ETFなどの資産買入が実施されてきたが、今後インフレ率が再び低下し始めた際には、ETFの処分は停止せざるを得なくなるはず。あくまでも物価の安定と出口戦略は別物であると割り切る道もあるが、物価の状況次第では、ETF売却の停止は不可欠であり、処分を始めても、その道のりは百年単位の遥かな道になるだろう。

 そのため、再検討すべきは、ETFが参照する株価指数についてである。株価指数の算出方法は、指数を算出・提供する指数プロバイダーが独自に決めており、日本銀行の関与は及ばない。

 くしくも日本銀行が保有するETFが連動する東証株価指数(TOPIX)の歴史的見直しが進んでいる。