収まりそうもない県政の混乱と分断
奥谷委員長らの見解をどう思うか、11日の会見で斎藤に問うた。だが、多言を費やしながら質問には答えず、一般論しか語らない。要約すれば、これだけだ。
「議会からの指摘は真摯にしっかり受け止める。改めるべきは改めて県庁を風通しのよい組織にする。職員には感謝の気持ちを伝える。議会とも車の両輪として、よい政策議論をしていく」
真摯に、しっかり……と口癖のように言うものの、批判や指摘を受け入れる意思がまったくないことは先述の通りである。定型句の「車の両輪」も、百条委および県議会への対応を見れば虚しく響く。
もう一点、県が設置した第三者調査委員会の結果が出る前に、あらためて確認しておきたいことを聞いた。法的責任が認定されない限り、知事を務めるのは問題ないという認識なのか。問われている資質や道義的・政治的責任は関係ないと考えているのか。これに対する回答も長いので要約する。
「県民の負託を受けて再選された。負託に応えてしっかりやっていく政治的責任がある。私が不在の間に服部副知事や職員にやっていただいた予算審議をしっかりやり、来年度当初予算が成立するよう議会と闊達に議論する。それが私の政治的責任だ」
とても答えになっているとは思えないが、要は選挙の勝利が──「二馬力」などで公正性に疑義が呈されても──すべてという認識らしい。
百条委に続き、3月19日には弁護士6人からなる第三者委の報告書が提出されるが、やはり法的拘束力はない。とすれば、今回も「真摯に受け止める」と言うばかりで、斎藤を擁護する支持者たちの「雲の中」に安住する姿勢は変わらないかもしれない。
県議会は斎藤の出方を見極める構えだが、県政の混乱と分断は当分収まりそうにない。