情報漏洩の元維新県議らに傍聴席から拍手
斎藤は2021年の初出馬に際し、〈「雲中雲を見ず」を常に自戒する〉と座右の銘を掲げた。
雲の中にいると雲の姿が見えなくなるように、権力者は自らを客観視できず、傲慢になりがちだ。そうならないようにと祖父から贈られた言葉だという。
告発文書問題で県議会から不信任を受け、出直し選に臨んだ時にも再びこの言葉を挙げ、「権力者は常に自分を省みなければいけないが、私自身、十分できていなかった」と反省を述べている。
だが、斎藤は再選を果たして以降も心地よい雲の中に居続け、さらに深く潜り込んだようだ。それが、発覚からまもなく1年になる文書問題が混迷を深める大きな要因であるように思える。
県議会の百条委員会(文書問題調査特別委員会)が出した最終報告でも同じような光景が見られた。
報告書は既に公表されているように、告発文書の疑惑7項目のうち5項目で「一定の事実が確認された」とし、「パワハラ行為と言っても過言ではない言動があった」などと認定した。また、「元県民局長の文書は公益通報者保護法上の外部公益通報に当たる可能性が高く」と結論づけ、告発文書の内容を調査せずに作成者を特定し、懲戒処分した県の初動対応は「公益通報者保護法に違反している可能性が高い」と指摘。
斎藤に対しては、「県のリーダーとして厳正に身を処していかれることを期待する」と求めている。
この報告書が表決された3月5日の県議会本会議では、70ある傍聴席のほとんどを熱心な斎藤支持者が埋めた。NHK党の立花孝志への情報漏洩などで維新の会から除名・離党勧告などの処分を受けた岸口実、増山誠、白井孝明の県議3人が議場に入る際には「頑張って」「負けないで」と声援が飛び、報告書への反対討論に立った増山に大きな拍手が起こった。
3人は同10日に新会派「躍動の会」を結成。その報告動画の中で、増山は「傍聴席からものすごい大きな拍手をいただき、めちゃめちゃ勇気づけられて登壇した」と振り返っている。