若い人に仕事を任せるのは「ローリスク・ハイリターン」

 ビジネスでは、淡々と仕事をこなして成果を出すのが大事かもしれません。でも、リスクや失敗を恐れず、チャレンジしてもいいのではないでしょうか。

「ええやん、やってみよう!」。これはNTT東日本の澁谷直樹代表取締役社長の合言葉です。

「ええやん、やってみよう」と言われて取り組んだ仕事で花が咲き、実がなったら、すごく楽しいはず。そのあとに飲む一杯のビールがどれだけ美味しいか。そういう成功体験の積み重ねが働きがいや成長につながります。 

 特に若い頃にする仕事では、少々失敗したとしても、会社に大きな損失を与えることなんてありません。失敗から学び、成功するように工夫すれば、PDCAのサイクルで円が大きくなっていきます。

 そう考えると、若い人に仕事を任せるのは「ローリスク・ハイリターン」です。

 野球選手が現役を引退して仕事に就くことは「セカンドキャリア」と言われています。引退すると、やってきたことを忘れて、「新たな人生のプレーボールだ」と思いがちです。

 だけど、セカンドキャリアはけっしてゼロからのスタートではない。野球というファーストキャリアで積み上げたものがある。仕事は野球人生から続く「延長戦」なんです。

「プロを目指していたけど、なれなかった」「もっと現役を続けたかった」

 確かに、それは挫折かもしれません。でも、「オレはいったい何のために時間を費やしてきたんだ」などと、自分がやってきたことを否定してはいけません。これは強く言いたいですね。

 野球選手は、ほかのみんなが新聞を読んでいる間に、バットを振ってきました。「勉強してきた人には勝てっこない」という劣等感は少なからずあるでしょう。この弱みには正面から向き合って、足りない部分を埋めていってほしい。それができれば、本人はもちろん組織も成長します。

 野球選手には成功率10割に近づけていくために挑戦し続け、弱みを克服する力があるんです。自分がやってきたことにプライドを持って、その力を仕事でも発揮すればいいだけ。そう考えると、野球選手は誰もがスーパービジネスマンになれるポテンシャルを秘めているんじゃないでしょうか。