鉄骨ガラス張りの建築は、電気がないと夏は温室、冬は野外と変わらない寒さになる

夏は熱帯植物園、冬はペンギン飼育に好適

「ダイワユビキタス棟」は、カマボコ板の長いの、みたいな木材が、表面にたくさんネジ止めされています。

 その中は基本、鉄骨が構造を支え、広々としたガラス窓が外光を取り入れ、外の景色もよく見えます。

 ということは、同時に外気温もガラスや鉄骨の熱伝導率で良く伝え、かつ屋内で空気の流れが遮断されている部分は熱が籠ったりします。

 上の写真、1階のガラス張りが張り出したところなど典型的で、夏場は直射日光が照りつけていますし、いまは冬場ですから(入居していた喫茶店が店を畳んだので)ガラスに触れてみると氷のように冷たかった。

 建物の3階はホール状の階段教室になっていますが、ここ数年続く猛暑のため、8月など、空調を入れる前の気温は42~43度になっているのが通例です。

 雰囲気としては熱帯植物園の温室みたいな感じですね。

 このため、夏場に行事を行う際は、少なくとも3時間程度前に空調を回しておかないと、普通に人が入れる状況にはならない。

 また冬は正反対の状況になります。

 今年の1月26日の午後、例年通り日本学術振興会の「ひらめき☆ときめきサイエンス 東京大学白熱音楽教室」をこの部屋で実施しましたが、ペンギンが飼えそうな寒さでした。

 参加した小学5年から高校3年生まで、約20人の児童・生徒たちが凍えかけました。というのも日曜日で全館空調が入っていなかったので。

 しかたがないので、電気スト―ブを炊きながら、消防署と反対隣りのコンビニから「ほかほかカイロ」類(化学懐炉)を購入、参加者に配って、どうにかしのぎました。

 電気が通らないと、この種の建物は、高齢者や学童、幼児などが滞在するのに基本的な難があります。

 夏は冷房、冬は暖房が欠かせない同様の状況は、やはり私たちの部署に建てられている「安藤忠雄」の建築物「福武ホール」でも、コンスタントに経験するものですが、これはまた別論としましょう。

 我々のラボは音楽の研究室ですから、こうした部屋で録音なども行いますが、事前の空調は必須。

 しかし演奏中にはエアコンが入れられません。

 さらに以下はマンガのような話ですが、この建物の隣は「本郷消防署」、さらに隣は「本富士警察署」、学内道路を挟んだ反対側は東京大学医学部付属病院なので、一定の頻度でサイレンを鳴らす緊急車両の出入りがあります。

 これらの建物には、基本的な遮音設備が一切ないため、それらの雑音は実にクリアに入ってきてしまうので、音を扱う仕事の折には、かなりの頻度でノイズによる中断を余儀なくされます。

 まだ研究環境があるだけマシなので(長年凄まじい状況にあったことは、別論として稿を改めますが)、なんとかやっていますが、かなり「電気を食って」なんとか凌げる環境を創り出している感は否めません。

 電気代は大学が払っているので、正確なことは分かりませんが・・・。

 建物が使っている「木材」についても、いろいろあるのですが、長くなるので別論とします。

 結論として、この建物は電気が使えないと、とりわけ夏と冬には居住が厳しい現実がある。

 実際にこの建物の中にいる一個人としての率直な経験を記しました。