XでUSAIDに関するフェイクが拡散
モスクワ在住のメディア関係者によれば、メドゥーザなどの独立系メディアは、ロシア国内で情報統制が敷かれていることを認識し、真実を知りたい層にとってはこれまで貴重な情報源であったという。たとえUSAIDを資金源としていることで、西側のプロパガンダが混在している可能性があったとしてもだ。
特に2022年のウクライナ侵攻以降、ロシア国内で十分な活動資金を得られない独立系メディアが西側の助成金で活動することは、ある種当たり前だと捉えられてきたと指摘した。
資金凍結という米国の今回の仕打ちは、メドゥーザに対する死刑判決に近いものだろう。ニューヨーク・タイムズの取材に応じた非営利メディアの専門家は今回の措置を「血の海のようだ」と評している。
トランプ政権でUSAIDを目の敵にして攻撃を仕掛けたのは、ご存知DOGEのイーロン・マスク氏だ。同氏が所有するXでは、USAIDを標的にしたフェイクニュースが拡散され続けている。
一例は、バイデン政権下のUSAIDが2022年、ウクライナのゼレンスキー大統領をタイム誌の「今年の人」に選出させるため、400万ドルもの金を払ったというデマである。
このフェイクを伝えるニセ動画にはニューヨーク・ポスト紙のロゴまで付けられており、あたかも既存メディアの報道であるかのような印象を持たせている。酷いユーザーに至っては金額を40億ドルと水増しして拡散しており、まさしくXでのフェイクニュース全盛の様相を呈している。
マスク氏は、マイク・ベンツという男性による「USAIDはプロパガンダを掲載させるために、メディア組織に金銭を支払っている」という言い分をXで拡散している。ベンツ氏は、トランプ氏1期目の政権下で国務省の国際広報担当次官補を務めた経験のある、極右の陰謀論者で白人至上主義者だ。
マスク氏は米政府による「プロパガンダ」を敵視しているようだが、自身がロシアに有利なプロパガンダを垂れ流し続けている構図は、あまりに滑稽かつ、危機的な状況である。