昔のテレビドラマはシンプルな主題で、一定の型があったのである。それが安定のおもしろさに繋がっていたのだ。

 1960年代は、紅白歌合戦といい、アメリカドラマといい、わたしのなかではテレビの絶頂期だったという気がする。

 こうしてみると、どうやら昭和後半の文化は、アメリカの影響が大きかった。ここでは省いているが、60~70年代のアメリカン・ポップスも魅力的だった。

好きなハードボイルド作家もみな「昭和の人」

 わたしが好きな本のジャンルはハードボイルドなのだが、それもアメリカのものがほとんどである。

 そして好きな作家は、日本流にいえば昭和の作家なのだ。

 最初に好きになったのは、ロバート・B・パーカーの私立探偵スペンサーシリーズだった。なんといっても、主人公のスペンサーがよかった。

ロバート・B・パーカー。1981年、マサチューセッツの自宅にて(写真:AP/アフロ)

 だがパーカーは2010年に亡くなった。1932年(昭和7年)生まれで、77歳だった。

 その次に好きなのは、スワガー・シリーズを書いたスティーブン・ハンターである。かれは1946年(昭和21年)生まれで、現在78歳。

 大傑作の「フロスト警部」シリーズの著者であるR・D・ウイングフィールドは、2007年に亡くなっていたことが判明した。1928年(昭和3年)生まれで、79歳だった。

 現在、健筆をふるっているのは、ボッシュ刑事シリーズのマイクル・コナリー(1956年、昭和31年生、68歳)、スティーブン・キング(1947年、昭和22年生、77歳)、「大聖堂」シリーズのケン・フォレット(1949年、昭和24年生、75歳)である。

 ジェフリー・アーチャーは1940年(昭和15年)生まれの80歳だが、驚いたことに、かれはまだやる気満々である。

 考えてみるとわたしが好きな作家は、みんなほぼじいさんか、完璧なじいさんで、昔の人なのだ。

 かれらの小説にはほんとうに堪能させてもらった。それにしても、よくもこれだけの錚々たるメンツが揃ったものである。

 その他、少年時代の遊びもある。

 モノもカネもなかった時代だったが、思い出せば、昭和の手作りの遊びの楽しさをいくらでも書くことができる。

 じつに素朴だった。独楽回し(大分の田舎にはベーゴマはなかった)、ビー玉遊び、双六、メンコ(大分ではベッタンといった)、坊主めくり、ドッジボール、道路に白墨で図を描いて遊んだけんけんぱ。

 おもちゃは少なかったから、自分たちで作った。タケヒゴと紙のゴム飛行機、凧、空箱のとんとん相撲など。作ること自体が楽しかった。
もうそれらの多くのものは失われた。

 しかしわたしは、いまでも聴く音楽は昔のものばかりだ。やっぱりわたしは昭和でできている。