「伝わる声」は「風鈴の音」のようなもの

 ほとんどの人は、ビジネスや婚活、就活などの重要な場面で、緊張が原因で不自然な声になっています。しかし、「不自然な声」という自覚はありません。

 こうした不自然な声は、実は相手にとって心地よいものではありません。自然でない声は、相手に無意識のうちに違和感を与えてしまうのです。

 自分に合った自然な声であれば、心地よい音楽のように、相手に安心感や信頼感を与えます。相手との心の距離が近くなるのです。自分の伝えたい情報も、ダイレクトに伝わるようになります。

 私が講師の一人を務めているナレーター養成学校「スクール バーズ」の義村透学校長は、「伝わる声」はたとえるなら「風鈴の音」のようなものだと教えています。

 窓辺に風鈴をつるしておくと、風鈴は風にゆられて涼しげな音を出しますよね。けれども、手で風鈴を押さえつけたらどうなるでしょう?そうです。音がまったく響かなくなります。

 私たちの体も同じで、ガチガチにこわばっていたら響きのある声は出ません。メンタルが緊張していたり、「失敗したらどうしよう」「うまく話せないかもしれない」といった不安や、「よく見せたい」という欲を抱えていたりしても、風鈴を押さえるのと同じで「伝わる声」は出にくくなります。