キャリアを重ねても、老害にならずメンターとなるにはどうすればいいのだろうか(写真:fizkes/shutterstock_3)キャリアを重ねても、老害にならずメンターとなるにはどうすればいいのだろうか(写真:fizkes/shutterstock)

 キャリアを重ねた人の言動がときに「老害」とされることがある。一方で、「老害」の対義語とも言われる「メンター」(仕事、キャリア、ライフプランなどについて助言などをしてくれる、信頼のおける相談相手)として、指針とされるような人もいる。

 カリスマ社長や政治家、教育者など、尊敬されるべき実績や経歴がある人ほど、本人も周囲も気づかないうちに「ハードな老害」に転じるもの。老害とは何か、そしてメンターとは何か。『メンターになる人、老害になる人。』をひも解きながら見ていく【6回目】。(前田 康二郎:流創株式会社代表取締役)

※前田康二郎著『メンターになる人、老害になる人。』(クロスメディア・パブリッシング)から抜粋、一部編集した。

【1回目】年をとってもメンターとして頼られる人、老害として避けられる人は何が違う?
【2回目】レビューサイトで5点をつける人と1点をつける人は何が違うのか、文体からわかる老害度自分の“つい”を抑えられない人
【3回目】あなたの職場にもいる?よかれと思って批判しまくる老害おじさんはなぜ生み出されるのか
【4回目】これやれば即老害認定!みんなに嫌われる3つの「老害話法」
【5回目】誰にでも来る会社員更年期、イライラを乗り越えて老害を避けるには?

職場以外に居場所を持っていない人

 老害を引き起こす人の特徴に「職場以外に居場所を持っていない」ことが挙げられます。

 たとえばお子さんが、学校以外にも塾や習い事、趣味のサークルや地域のコミュニティなど、「学校以外の別の居場所」を作っておけば、学校生活でストレスが溜まることがあっても、他の居場所で楽しく過ごせることでストレスを解消できると言われますが、これは大人でも同じことです。

「会社命」の人ほど、他に趣味もなく、仕事が趣味という人も多いので、仕事で溜まったストレスはおのずと職場で発散する以外にありません。

 そのため、仕事ができる半面、ストレス過多で周囲にハラスメント気味な発散の仕方をしてしまうケースがあります。そうは言われても趣味が見つけられない、見つける気が起きないという人は、「大事な居場所である職場を自分のハラスメントで汚さないために、別の居場所も作る」という発想をしてはいかがでしょうか。

【図表】老害の構成軸。
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 大人の場合は、子供より少し複雑で、家庭にも居場所がない場合、家庭のストレスも職場に持ち込んでダブルで発散してしまう人がいます。そしてそのような人は早く家に帰りたくないので、社内に遅くまでいます。見るからに仕事と家庭の両方のストレスを抱えた人が職場内に一日中いたら、一緒に働く人にもやはり影響が出ます。

 会社命の人が、「いるだけで老害」となってしまっては、あまりにももったいないのではないでしょうか。

 そうならないように、習い事やボランティアなど、するだけでストレス解消になる、あるいはその集まりに参加するだけで気分転換になる、愚痴を言い合える人がいる、というような居場所を意図的に作っておいたほうがいいと思います。

 万が一職場で何かあったときに、いったん別の居場所のほうへ避難し、冷静に考えたり対処したりすることができると思います。