なぜ「伝わる声」になっていないのか?

 声がこれほど重要であるにもかかわらず、多くの人が「伝わる声」になっていないのが現実です。なぜなら、習ったこともないし、誰にも聞けないからです。

 そのため、ほとんどの人が声や話し方の迷子になっています。世間で言われている話し方のコツを参考にして、自分なりに好印象を持たれようとしています。

 昔の私もその一人でした。

 声の高低を変えてみたり、「明るくハキハキ」話すことを意識したり。「抑揚(声の調子を上げ下げすること)をつけなければならない」と思っている人も多いでしょう。特に、接客業や営業職では自然な声で話すのを避ける傾向にあります。

 また、たとえば、日本人女性の声は海外と比べて高いと言われるのは、自分の母親が電話や人前で、「よそいきの高い声」に変わるのを聞いて育った影響があるかもしれません。

 でも、わざわざ声を高くする必要はないのです。実は国際的には、ビジネスなどのフォーマルな場でも、「地声」がよいとされています。

 むしろ、高い声は知的でないとか、幼稚なイメージとなる可能性があり、一方で低い声は信頼されるイメージとなります。

 また、多くの日本人が自分の声を嫌いだと感じているため、知らないうちに本来の自然な声とはかけ離れた声を使っていることもあります。