NISA口座の「申告不要」には「申告してもムダ」との意味も
証券会社の関係者がNISA口座の利用者から何件か問い合わせをもらったと話すのが、「外国税額控除」に関するものだ。
米国株や米国株ETFなどから配当を受け取った場合、米国と日本で二重課税(米国で10%、日本で20.315%)されている可能性がある。米国で課税された分については、「外国税額控除」の申告をすれば取り戻すことができる(ただし、外国税額控除には上限があり、米国で課税された分が全額戻ってくるとは限らない)。
NISAの成長投資枠で米国の高配当株や高配当株ETFに投資する人も配当を受け取った時点で米国の税金が引かれているが、NISA口座での取引は外国税額控除の対象外となるため、申告しても控除は受けられない。
NISA口座の「申告不要」には、「申告しなくていいですよ」だけでなく、「申告してもムダですよ」の意味もあることを理解しておこう。
過去の損失で利益を圧縮する「繰り越し控除」が認められないケースは?
次は株式投資の中上級者向けの注意点となる。
2024年の日本株市場は2月に日経平均株価が34年ぶりに高値を更新し、3月には大きな節目となる4万円を突破。8月5日には1987年のブラックマンデーを上回る1日で4451円の大暴落が起きたが、翌日には終値で3217円という過去最大の値上がりでV字回復した。
まさに記録ラッシュの2024年相場だが、株価自体は高値圏で推移しており、トータルでは儲かった投資家の方が多そうだ。
そうした“株式長者”の中には、2023年以前の損失を同時に申告して、利益を圧縮しようと考えている人もいることだろう。株式投資の損失はその後3年間の利益と相殺できるからだ(繰り越し控除)。
確かに、申告自体は5年前まで遡れる決まりになっている。しかし、遡って繰り越し控除を受けようとしてもできないことがある。