山野ホールの建築基準法違反とは?
もともと山野学苑のマイタワーの建っているところは、山野美容専門学校に関連したビルが集まっていた場所だった。ただ、老朽化が進んだために付近一帯を再開発し、超高層ビルを建てる計画を立てた。2000年代前半のことだ。
そして、2007年に地上27階、地下3階のマイタワーが完成した。延べ床面積1万坪の半分は校舎、残りの半分は賃貸物件やホールである。
実は、マイタワーが建つ敷地の用途地域は第二種住居地域に指定されている。第二種住居地域は住環境が優先されるエリアだが、マンションのような集合住宅の他、面積に制限はあるものの、飲食店や商業施設、学校や病院などの公共施設なども建てることができる。
一方、建築不可なのは1万m2を超える大型の店舗や劇場、映画館、風俗施設などだ。マイタワーの建築確認申請許可が下りたのは、教育施設と賃貸マンションの建築として申請したからである。
ここで山野ホールの話に戻るが、もともとは学校に付帯したホール、いわゆる講堂として位置付けられており、許認可を得た時も、そういう立て付けになっていた。つまり、学校のイベントに関連するものであれば開催可能だが、不特定多数の人々が訪れる劇場としての利用はNGということだ。
劇場としての使用については、消防法に基づく一時使用の届出によって、建築確認と異なる用途の使用が一時的に緩和される。ただ、これは消防法上の規制が緩和されるという話であり、建築基準法の用途制限地域が解除されるわけではない。
いつからホールを貸し出すようになったのかはわからないが、教育とは無関係なイベントにホールを貸し出していた山野学苑は、今回の問題が発覚するまで、長年にわたり、建築基準法に違反していたということになる。その事実が内部で明らかになり、急遽、貸出を中止したというのがことの真相のようだ。