建築基準法違反よりもずっと深刻な問題

 もっとも、建築基準法違反については外部への貸出をやめれば、それでとりあえずは終わりである(法律違反という事実は残るが)。興行場法における営業無許可についても同様だろう。

 ただ、建築基準法違反以上に問題になると思われるのは、いわゆる学校法人の収益事業に関するところだ。

 山野ホールのように、施設を活用した収益事業を営む学校法人は少なくない。こうした収益事業は私立学校法でも認められているが、文部科学省が2008年に出した告示にあるように注釈がある。以下に該当しないものでなければならないという注釈である。

1.経営が投機的に行われるもの
2.風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に規定する営業及びこれらに類似する方法によって経営されるもの
3.規模が当該学校法人の設置する学校の状態に照らして不適当なもの
4.自己の名義をもって他人に行わせるもの
5.当該学校法人の設置する学校の教育に支障のあるもの
6.その他学校法人としてふさわしくない方法によって経営されるもの

 この6番目の「ふさわしくない方法」という表現は何とも解釈の余地を残すものだが、法令違反を犯した状態で貸し館業を営むことが学校法人にふさわしいものかと言われれば、恐らく言えないのではないだろうか。

 同様に、「公益法人の設立許可及び指導監督基準」及び「公益法人の設立許可及び指導監督基準の運用指針」によれば、「収益事業の業種としては、公益法人としての社会的信用を傷つけるものではないこと」「収益事業の業種については、社会的信用を損なうものであってはならない」とそれぞれ明記されている。

 この文脈で言えば、建築基準法における用途地域制限に違反している外部へのホールの貸出は、山野学苑の社会的な信用を損なうものだ。つまり、私立学校法で認められる収益事業に当たらない可能性がある。