トランプと相似形「Make Germany Great Again」
ヴァイデル氏はトランプ氏が大統領に就任した20日、X上で「トランプ大統領と米国民のこれからの道のりに成功と神のご加護を」と祝辞を述べた。その投稿には「もうすぐあなたにも祝意を」「ドイツを再び偉大に」「次はあなたが首相になる番」というリプライが並ぶ。
1カ月後に迫ったドイツの総選挙を前に、ヴァイデル氏のAfDは現在世論調査で20%の支持率を有し、2位につけている。
AfDは過激派組織との疑いなどから公安当局の監視下にある。そのため、主要政党がAfDと連立を組む可能性はなく、ヴァイデル氏が首相になる可能性は皆無に等しい。それにもかかわらず、支持者たちのSNS上でのはしゃぎぶりは、女トランプがドイツを支配する近未来を祝うかのようだ。
既報の通りヴァイデル氏は半月ほど前、マスク氏とXで1時間以上にわたって対談をした。その際、ヴァイデル氏の背後の棚には「Make Germany Great Again(ドイツを再び偉大に)」というロゴ入りの赤い野球帽が映り込んでいた。トランプ氏のスローガンであるMAGA(米国を再び偉大に)キャップにそっくりである。

最近ではこのスローガンをもじった「MGGA」や「MEGA」(EはEurope)という言葉もXで散見される。ヴァイデル氏がこのキャップを被れば、「女トランプぶり」はさらに板につくだろう。
トランプ氏同様、AfDも人々の不満を移民問題にすり替える政策を押し進め、移民の大量国外追放を提唱している。確かに、不法移民は取り締まりが必要だろう。しかしAfDの政策が問題視されるのは、そこには自分たちが勝手にドイツ社会に適合しないとみなす、合法的な移民も含む可能性があるからだ。
昨年、ある調査報道がネオナチや極右過激派などとの謀議にAfD幹部が加わっていたことを暴露した。その謀議の中身は、AfDらが「ドイツにふさわしくない」とする勝手な定義を持ち出し、たとえ合法的に滞在したり、国籍を有したりする人であってもドイツから追放しようというものだ。平たく言えば、白人至上主義者がドイツ民族以外の人種を大量排除しようという計画だ。