
奈良市は人口減少社会における行政と行政サービスのあり方を捉え直すため、「Local Coop 大和高原」とさまざまなプロジェクトを進めている。なぜ奈良市はLocal Coopプロジェクトを始めたのか。市長の仲川げん氏に話を聞いたインタビューの2回目。(聞き手:篠原匡、編集者・ジャーナリスト)
◎第1回:なぜ奈良市は資源ゴミの回収をLocal Coopに委託したのか?人口減少に抗う地域コミュニティの戦い【奈良市長・仲川げん氏インタビュー(1)】
──具体的な事業の話ですが、Local Coopの取り組みとして、資源ゴミの収集から始めたのはどうしてでしょうか。
仲川:実はゴミの収集業務については、長い間、奈良市の直営でした。それを少しずつ民間委託に移行し始めたのですが、ふとした時に、「ゴミを収集するのがゴミの収集事業者でなければならない理由は何なのか」と疑問に思い始めたんです。「これって、本当に事業者でないとできないのか?」「住民が自分で収集してもいいのでは?」と。
そもそもゴミは住民が自分で出したもの。ゴミというと、みんな汚いもの、嫌なものと思うけど、数秒前までは自分の生活を支えていた資源でしょう。そう考えると、ゴミかゴミでないかは微妙な話です。
──ゴミと捉えるか、資源と捉えるかはその人の見方次第です。
仲川:奈良市のゴミ行政を変えなければという強い思いがありましたので、Local Coopにはゴミの問題も取り入れたいと思いました。しかも、燃やして終わりではなく、なるべく再資源化してエネルギーも資源も地産地消にしたい。
そこで、資源ゴミの収集だけでなく、生ゴミをバイオガスと液体肥料に資源化するという取り組みもあわせて始めたわけです。
──月ヶ瀬のワーケーション施設「ONOONO」にあった、小型バイオ装置「MEGURU-BIO」ですね。

仲川:Local Coop 大和高原(LC大和高原)を設立した一般社団法人Next Commons Lab(NCL)の仲間に、アミタホールディングス株式会社さんがいらっしゃったのは大きかったですね。僕らが技術的にできることは限られていますし、生ゴミをLocal Coopで集めても、それを埋め立てていては以前と何も変わりません。
そもそも日本は何でもかんでも燃やして埋めすぎです。