ロスで発生した大規模な山火事に冷たいトランプ、視察要請にも応えず
宿敵ニューサム知事潰しか、山火事は天災ではなく人災と批判
2025.1.14(火)
高濱 賛
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無能な知事の言い訳はうんざりだ
こうした動きを察知したドナルド・トランプ次期大統領は、火災発生直後、被害者への同情や励ましの言葉はそっちのけで、自前のSNSにこう投稿した。
「NO MORE EXCUSES FROM THIS INCOMPETENT GOVERNOR. IT”S ALREADY FOR TOO LATE!」
(無能な知事の言い訳はもううんざりだ。すべてが手遅れだ!)
さらにこう綴っている。
「ニューサムよ、今すぐ北部カリフォルニアに行け。行って水道本管のバルブを開けろ」
「そしてこれまで太平洋にただ流してきたその水を、乾き、飢えて、燃えさかる南部カリフォルニアに配水せよ。今すぐ、そうすべきだ」
カリフォルニアは元々「水ストレス州」
トランプ氏の投稿文もこれだけでは何を言っているのか分かりづらい。説明するとこうだ。
カリフォルニア州は、気候変動による気温の上昇と水源のシエラネバダ山脈の雪渓の減少というダブルパンチで「水ストレス」に悩まされている。
そのため、水資源利用の効率化・改善、再生水資源利用技術の開発、海水淡水化などありとあらゆる措置を検討、実施してきた。
2025年までに州民の水利用量を制限する目標を設定したり、農業用灌漑に使用する水の量を制限したりする中で、海水淡水化では絶滅危惧の魚(キングサーモンなど)を保護するための措置をとるなど苦慮してきた。
ニューサム氏は、環境保護を守りつつ、水資源の確保を推進してきた。
気候変動を信じない共和党は終始一貫、農業用水の最優先を唱え、環境保護は二の次三の次といったスタンスをとってきた。
トランプ氏のコメントは、カリフォルニア州で水資源の利用をめぐって続いている民主党と共和党の論争を踏まえて、今回のロサンゼルス山火事の原因は水不足にあるとの前提で、ニューサム氏を攻撃したわけだ。
先の大統領選では、ニューサム氏は反トランプ批判の急先鋒。
しかも2028年の大統領選への出馬を狙っている民主党の「希望の星」とあって、トランプ氏としては、ここで徹底的に叩いておこうという魂胆なのだろう。
大統領選ばかりか、上下両院、知事選でも負けた民主党にとっては、今回の山火事はまさに「泣き面に蜂」。ニューサム氏はその矢面に立たされた格好だ。
退陣まで2週間を切ったジョー・バイデン大統領は1月9日、ホワイトハウスで会議を招集し、「カリフォルニア史上、最も広範囲にわたって甚大な被害をもたらしている火災だ」と指摘。
必要な物資の提供など対応に全力を尽くす考えを表明した。
だが、バイデン氏が公表したカリフォルニア支援策の有効期限は180日間。火災で廃墟となった地域の復興には今後数年はかかる。
トランプ氏がバイデン氏の救済・復興支援をそのまま受け継ぐのか、破棄するのか、こればかりは分からない。