米国の原油生産量は日量1350万バレルを超え過去最高水準にあるが、寒波の襲来で石油関連施設に被害が出る危険性が生じている。米国最大のシェール油田地帯であるパーミアンの生産量の伸びが鈍化しつつあるとの見方も強まっている。

 世界の昨年の原油輸出量は前年比2%減の日量4168万バレルとなった。減少したのは新型コロナのパンデミック(2020~21年)以来だ。専門サイトOILPRICEの報道によると、イエメンの親イラン武装組織フーシ派による紅海での攻撃が世界の原油輸送にとって大きな障害となった。

政府のテコ入れで中国の需要が回復?

 需要サイドに目を転じると、政府のテコ入れにより中国の原油需要が回復するとの期待が生まれている。

 今年に入り、携帯電話やタブレット端末などの通信機器の買い替えに補助金を出す消費刺激策が発表されており、3月の全国人民代表会(全人代、国会に相当)に骨太の経済政策が打ち出されるとの観測も出ている。

不振の中国経済は2025年、どうなる?不動産不況が回復する見通しは薄い(写真:CFoto/アフロ)

 一方、中国の原油輸入が減少する可能性が生じている。

 中国山東省の港湾運営企業(山東省港口集団)が今年に入り、米国の制裁措置の対象となっている石油タンカーの入港を禁止していることが明らかになったからだ。

 米政府が昨年末にイラン産原油を取り扱う企業や「影の船団」に対する制裁措置を科したことを受けての対応だ。

 山東省にはイラン産原油の大口の買い手である独立系製油業者が集積している。

 ブルームバーグは「イラン産原油を積んだ多数のタンカーが12月末から南シナ海で漂流している」と報じている。イランから中国への原油輸出が今後、減少する可能性が高いだろう。

 中国に代わって世界の原油需要を牽引すると期待されるインドの12月の原油需要は前年比2.1%増だった。ガソリンとディーゼル需要が牽引した。

 大統領再登板を前に、「トランプ砲」は鳴りっぱなしの感がある。