先端プロセスノードの生産能力12%増

 IDCによれば、AIブームを背景に先端プロセスノード(20nm以下)への需要も急増している。TSMCは台湾で2nm及び3nmの製造を継続するとともに、米国で4nm及び5nmの製造を進めており、間もなく量産に入る予定である。

 サムスン電子は、GAA(ゲート・オール・アラウンド)世代を最初に導入した経験を生かし、韓国の首都ソウル南郊の華城で2nmの技術を進化させている。

 米インテルは、新たな戦略計画の下で1.8nmプロセス「Intel 18A」の開発に注力している。これら企業の動きにより、先端プロセスノードの生産能力は2025年に12%増加するとIDCは予測する。「2025年は2nm技術にとって重要な年になる」(IDC)という。

先端パッケージング技術が急成長

 IDCは、「先進的なパッケージング技術はますます重要になっている」と述べる。FOPLP(ファンアウト・パネルレベルパッケージ)は2025年以降、急速に成長するとみられる。加えて、複数の半導体チップを組み合わせるチップレット集積技術「CoWoS(コワース)」は生産能力が拡大する見通しだ。2024年、TSMCのCoWoS生産能力はウエハー換算で33万枚だった。同社はこれを2025年に66万枚と、倍増させる計画だ。

 米エヌビディア(NVIDIA)や米アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)、米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)、米ブロードコム(Broadcom)といった高性能コンピューティング企業からの需要がその背景にある。これに伴い、プロセス装置メーカーなど台湾の装置サプライチェーン(供給網)も成長の機会を得るとIDCは分析する。

 前述した通り、IDCは2025年の世界半導体市場が2桁成長を遂げると予測している。しかし、半導体産業は、地政学的リスクや、産業補助金、貿易関税などの経済政策、最終市場の需要、新たな生産能力による需給の変化など、様々な変動要因に対応する必要がある。これらは、2025年に注視すべき重要な要素だとIDCは指摘する。