もし、サイバーテロなどが起きてアカウント情報が全て流出し、本名がわかってしまったら……。コンプライアンスが叫ばれている中で上場企業の部長としてリスク管理は大丈夫かなと心配してしまいましたが、これもまた事実は小説より奇なりということです。
書き言葉と話し言葉は連動しますので、「あなたより私のほうが優れている。だから私の言うことのほうが正しい」という書き込みをしてしまう人は「これはネット上だけの楽しみで会社にも家族にも内緒」と思っていても、そんなに都合よくはいきません。実際には無意識のうちに職場でも家庭でも同様のことを言ってしまっています。
私はレビュー1本で済みましたが、ご家族や部下の方達はその方の老害を今日も受け続けているかもしれません。冒頭の経営者ほどではなくても、「私は実績も肩書もあるから正しいんだ。だから言うことを聞きなさい」と、似たようなことをやっている人はごく身近にもいます。意見交換の際には、属性を外して意見の中身だけで議論をしましょう。
これもよくいる会話の冒頭を否定から入りたがる人
コロナ禍に在宅勤務制度を導入していた会社で社員の方達にアンケートを取ったところ、「在宅勤務下で不快だった出来事」の断トツの一位が、オンライン会議の冒頭で、上司から「ちゃんと仕事してる?」「さぼってたんじゃないの?」とからかわれたことでした。
これは、現代の「老害」の問題を最も端的に表している一例だと思います。
上司からすると、「やあ元気?」「仕事は順調?」と同じか、むしろ親しみを込めたつもりで「ちゃんと仕事してる?」「さぼってたんじゃないの?」と言ったつもりの人がほとんどのはずです。
その返答として「ちゃんと仕事してますよ。部長こそさぼってたんじゃないですか?」というやりとりを期待していたのだと思います。実際に私の若い頃もそのような会話はごく当たり前にされていた記憶があります。
しかし、今の時代にそれをすると反応はこうなると思います。「え、仕事してますけど……」「いえ、さぼってませんけど……」「え? それってどういう意味ですか?」。そして妙な沈黙が生まれることでしょう。