こちらも多い「優れているか、優れていないか」で論じたがる人

 以前、空港の航空会社のカウンターで「俺は経営者だぞ!」と、職員の方に怒鳴り散らして業務を妨害したという話題を見ました。多くの人は「この人本当に経営者なのかな? 自称経営者じゃなくて? だとしたら危機管理がなさすぎでは?」と思ったことでしょう。

 しかし事実は小説より奇なりで、実際にその方は経営者なのでしょうし、そこまでひどくなくても、日常的に私達は無意識にそのようなことをやっていることはあると思います。

 レビューサイトの書評でも、辛口な意見の冒頭には「私は海外の○○大学に留学していましたが」「私は上場企業の管理職ですが」と「私は著者であるあなたより優れているよ」というその方なりの自己紹介がよく入ります。

 ただ「良い意見」というのは、世に言う学歴のある人や肩書のある人から発する言葉が全て「良い意見」なのではなく、意見の内容が良いから「良い意見」なだけです。ですので、自己紹介は不要です。

 実際にそういった自己紹介のある辛口レビューの内容を読むと、「どうしてお前のような私より学歴も肩書も低い人間が著者としてこの分野を語っているんだ。私の持論のほうが正しいのだ」という感情的、断定的な暴言が見られ、もはや書評でも意見でもありません。

 レビューは匿名のものが多いですが、以前、私の作品に辛口コメントを書き込んだ方を後追いしたらたまたま本名がわかり、それを検索したところ有名な上場企業の部長さんでした。顔写真を拝見したらそのようなことはしなさそうな大人しい雰囲気の外見の方でした。

 老害というのも一見しなさそうな人がするケースもありますので、露見しにくいこともあります。

 その方がまた別のサイトに匿名で書いているブログを読むと、「今日、会議で部下たちの知見があまりにも乏しかったので教えてあげようと思って意見をしたら『その発想は老害です』と言われた。あいつらは本当に何もわかっていない」と書いてありました。