深刻な人手不足に
超高齢化社会は、言うまでもなく、深刻な人手不足を招きます。
パーソル総合研究所のレポートによれば、2025年には全産業で505万人の労働者が不足し、2030年には不足が644万人に拡大します。すでに人手不足の影響は社会のあらゆる分野で深刻になっていますが、この状況が続けば、企業は生産性の低下や業務の効率化の遅れ、コスト増加などに見舞われ、事業の継続すら困難になる可能性もあります。
とくに、従業員が比較的少ない中小・零細企業は、人手不足の影響を受けやすく、人手不足倒産が深刻化しかねません。そうした結果、日本全体で経済活動が停滞し、国際競争力のさらなる低下や、社会保障費の急増などが避けられなくなるでしょう。
「2025年問題」に象徴される超高齢化社会をどう乗り切れば良いのでしょうか。外国人労働者の受け入れ強化をはじめ、地方経済の活性化、女性のさらなる社会進出などを起爆剤にすべきだとの意見はありますが、個別の政策によって解決に向かう段階は過ぎ去ったようにも思えます。
石破茂首相は首相に就任して初の所信表明演説(2024年10月)でも、衆院選後の所信表明演説(同11月)でも、超高齢化社会をどう乗り切るかについては言及しませんでした。国際的にも飛び抜けて高齢化率の高い日本はこの先、どこに向かっていくのでしょうか。
フロントラインプレス
「誰も知らない世界を 誰もが知る世界に」を掲げる取材記者グループ(代表=高田昌幸・東京都市大学メディア情報学部教授)。2019年に合同会社を設立し、正式に発足。調査報道や手触り感のあるルポを軸に、新しいかたちでニュースを世に送り出す。取材記者や写真家、研究者ら約30人が参加。調査報道については主に「スローニュース」で、ルポや深掘り記事は主に「Yahoo!ニュース オリジナル特集」で発表。その他、東洋経済オンラインなど国内主要メディアでも記事を発表している。