進化したバッテリー、EV航続距離100kmに

 アクセルを少し大きく踏み込んで積極的な走りを試みても、クルマ全体が大きくロールするのではなく。電子制御による前後車輪の駆動力を上手くコントロールしているのは分かった。

 また、強い加速時にはエンジンがかかる瞬間がドライバーにしっかり伝わり、EV走行との差が分かりやすかった。

加速性能が先代モデル比で大幅に向上。投影されたプレゼンテーション(写真:筆者撮影)

 そんな先代モデルの初体験と比べると、新型モデルの動きは実に落ち着いて、実に静かな空間で移動できる。

 クルマ全体がより引き締まり、「感性の密度が上がった」といった表現がふさわしい。
 
 こうした走りの実感を、技術的な改良点から検証する。

 大きなポイントは、駆動用バッテリーが刷新されたことだ。

 バッテリーの本体であるセルの種類が、レトルト食品を封入するような外観のパウチ型から角形へと変わった。これにより、バッテリーセル数個で構成する、バッテリーモジュールの冷却方法も変わった結果、冷却性能が約50%アップしている。

 バッテリーモジュールを組み合わせたバッテリーパック全体での電気容量は、先代モデルの20kWhから22.7kWhへと拡大した。

 バッテリーの刷新により、トータルシステム出力は約20%アップし、バッテリー出力は約60%もアップしている。EV航続距離は先代モデルから20km伸びて100km超。

 走行性能データとしては、停止状態から時速100kmまでの加速性能は、走行モードでのノーマルモードを比較して、なんと2秒も速い。

 しかも、加速時の時間経過と加速度の関係を示したグラフを見ると、加速開始から3秒後以降での中高速域の車速が伸びていることがひと目で分かる。

 さらに、アクセルが開いている度合いであるアクセル開度と車速の関係を示したグラフでは、EV性能が高いためにエンジンがかかりにくいことも分かる。

外部給電の機能を使って、電化製品を利用する様子(写真:筆者撮影)

ドライブモードの制御も変更

 パワートレインの性能向上を受けて、MUD・SNOW・TARMAC・GRAVELというすべてのドライブモードに対して、前後駆動力配分を制御するS-AWCや、ブレーキの制御などの制御マップを変更している。

 さらに、サスペンションについても、スプリング変更、ショックアブソーバーのバルブ変更、さらに電動パワーステアリングの制御など、走りに関するすべての領域を新型用に見直している。

 その結果を三菱は、「厚みある圧倒的な加速」「溢れるパワーを手のひらの上で」「一筆書きでつながるハンドリング」と表現している。

 実際に走ると、こうした言葉は実に説得力があるのだ。

 そして、もうひとつ、三菱が強調する表現が「ライブ会場へようこそ」である。