「自分はヤクザだ」との脅しも

 三重県が県内の労働者を対象として2024年5~7月に実施した調査によると、県内の852社・3779人の回答者のうち、32%がカスハラの被害に遭ったと回答しました。業種別では、医療・福祉、運輸・郵便業、卸売・小売業の被害が多く、その割合はいずれも半分近く。カスハラの内容では、「威圧的な言動」が7割超となり、以下、「脅迫・中傷等」「過度なクレーム」と続きました。

 深刻な実態を打ち明ける回答も目立ちました。

「出勤日に合わせて来店し、名指しで接待を求められ、手紙を渡されたり、店外で待ち伏せされたりした」

「従業員をすぐ辞めさせろ、殴るぞと怒鳴られ、録音しているからなと脅された」

「店のミスにつけ込み、請求額を半額にしろと高圧的に言われ、応じないと、ネットに掲載すると脅された」

 といった声が続出。なかには

「客から『自分はヤクザだ』などと脅された」

「クレーム対応で顧客の自宅を訪問したら、納得してもらえず、数時間監禁状態になった」

 という悲痛な訴えもありました。

 こうした声は三重県に限らず、全国に広がっていることは想像に難くありません。そのため、カスハラ防止条例をつくる動きは桑名市だけでなく、全国に広がっているのです。