東京都、桑名市…全国で続々
カスハラ防止条例を真っ先に制定したのは東京都です。桑名市より2カ月ほど早い2024年10月に制定されました。施行は2025年4月です。
この条例には罰則規定や制裁措置は盛り込まれていません。しかし、条例運用指針の中で、都はカスハラについて「働く人を傷つけるのみならず、商品又はサービスの提供を受ける環境や事業の継続に悪影響を及ぼす」として、個々の事業者だけでなく、社会全体で対応しなければならないと強調。条例に罰則はなくても、カスハラ行為は刑法などに触れる恐れがあると警告しています。
桑名市や東京都に限らず、カスハラ防止条例の制定は全国に広がってきました。
北海道議会では2024年11月末、「北海道カスタマーハラスメント防止条例」が成立しました。議員提案によるものです。罰則はありませんが、第5条では顧客の責務として「カスタマーハラスメントを行ってはならない」と明記しました。
このほか、都道府県レベルでは、栃木県や群馬県、埼玉県、佐賀県などで条例制定へ向けた具体的な動きが始まっています、
「カスハラ」の語句は用いていませんが、秋田県は2022年4月に施行された「多様性に満ちた社会づくり基本条例」の第3条で、「何人も、他人に対して、優越的な関係を背景として、不当な要求をすることその他の不当な行為をしてはならない」と規定しました。それに基づくガイドラインでは、顧客や取引先からの従業員に対する不当行為を列挙。「土下座の強要」「長時間にわたる謝罪の要求」「大声で威嚇する、暴言を吐く」「一方的で不当な要求の執ような繰り返し」「人格を傷つける発言」などを禁じました。
一方、議員や自治体の首長らから職員へのハラスメント行為を禁じた条例は「狛江市職員のハラスメント防止等に関する条例」(東京都、2018年)を皮切りに、埼玉県川越市、大阪府池田市、福岡県中間市など全国80以上の地方公共団体で制定されています。
カスハラ防止条例を制定する動きは、なぜ全国に広がってきたのでしょうか。