2025年の資産運用のポイントは?

 昨夏の株価調整後、日経平均株価は4万円手前で足踏みしています。日銀の覚悟がマーケットに伝わっていないことがその一因ではないでしょうか。12月に利上げを見送って円安が進みましたが、株価はほとんど上昇しませんでした。もはや、これまでのような「円安→株高」という単純な構図は成り立たなくなっています。

 前編で説明した米国の状況を踏まえると、米国発の世界同時株安に日本も巻き込まれる可能性があります。さらに、日銀の利上げによる円高シフトが重なれば、日本株が大きく下落するタイミングもあるかもしれません。

 しかし、金利のある世界が新陳代謝を促し、日本経済を覚醒させて、再び活性化する契機になると考えれば、中長期的には日本株はそこから上昇していく可能性は高いでしょう。

 こうした米国、日本の状況を考慮した上で、NISA2年目の資産運用を考える際の主なポイントは次のようにまとめられます。

(1) トランプ2.0で米国経済の不透明感は一層高まる。インフレが加速し景気が失速、「米国一人勝ち」の状況が終わる可能性。米国株の調整が世界に波及すれば、全世界同時株安も

(2) 日銀は迷走気味だが、2025年末には金利1%に。円高に転じ株価が下がる可能性はあるものの、中長期的には「金利ある世界」で企業の選別が進み経済にはプラスのため、むしろ日本株に投資するチャンスに

 もちろん、他にも考えるべき要素はいろいろあります。ロシア・ウクライナ戦争や中東情勢、米中対立など地政学リスクの高まりのほか、日本では夏に参院選も予定されています。米国も日本も、株式相場のボラティリティーは昨年以上に高くなるかもしれません。

 大切なことは、短期的な相場の変動に右往左往しないことです。昨年の夏に経験した以上の「暴落」が訪れるかもしれませんが、相場が下落しているときはむしろ強い企業を買える」チャンスでもあります。長期視点に立って、分散、積立投資を続けることを心がけましょう。

※投資の最終決定は各自の責任でお願いいたします。

中野 晴啓(なかの・はるひろ) なかのアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長
1987年、明治大学商学部卒業。セゾングループの金融子会社にて債券ポートフォリオを中心に資金運用業務に従事した後、2006年セゾン投信株式会社を設立。2007年4月代表取締役社長、2020年6月代表取締役会長CEOに就任し、 2023年6月に退任。9月1日、なかのアセットマネジメント設立。全国各地で講演やセミナーを行い、社会を元気にする活動とともに、積み立てによる資産形成を広く説き「つみたて王子」と呼ばれる。近著に『新NISAはこの9本から選びなさい』『1冊でまるわかり 50歳からの新NISA活用法』(写真:村田和聡)