複数旅団の作戦が意味すること
「奇襲の目的は敵が最も弱っている時、もしくは最も予期していない時に衝撃を与え、圧倒することだ。その衝撃によって敵の団結力を崩壊させ、効果的な対応能力を低下させる。ウクライナ軍はまたしても今回の奇襲作戦でロシアと西側のオブザーバーを驚かせた」と評価する。
これまでの反プーチン武装勢力の越境攻撃とは「何か違う」。「今回は複数旅団の作戦。少なくとも2つのウクライナ軍の旅団が確認されている。第22機械化旅団(約4000人)と第82空中強襲旅団(4500~5000人)だ。いずれも質の高い編成である」とライアン氏は指摘する。
ウクライナ軍は中隊レベル(60~250人)の作戦は得意だが、大規模な統合作戦には不慣れとされてきた。それが昨年6月の反攻が不発に終わった理由の1つだった。1000人以上が参加したとされるクルスク州侵攻作戦の成功はウクライナ軍が苦手を克服したことを意味するのか。
第2にウクライナ軍は敵の防御の隙を作り出し、素早く利用するために不可欠な装甲車や自走砲など高い機動力を使っている。第3に奇襲部隊はかなりの防空能力を備えている。少なくともロシア軍の戦闘機1機とヘリコプター2機を撃墜したと言われている。