横ばいの中国に代わってロシアが輸入を増やしている国々
ロシアの輸入総額は2024年第3四半期に660億米ドル程度に回復したが、2023年前半の水準には至っていない。そのため2024年通年では2023年の水準を下回るだろう。つまり、ロシアの輸入は伸び切っていない。米国の制裁による決済の停滞が輸入を圧迫していることはロシア中銀も認めるところだ。
【図表2 ロシアの国別輸入総額】
伝統的にロシアは、国内で不足している工業品を輸入で賄ってきた。
ウクライナ侵攻前まで、最大の輸入先は欧州連合(EU)だったが、ウクライナ侵攻後はそれが中国にスイッチした。2024年も中国が引き続き最大の輸入先だが、その規模は1四半期当たり300億米ドル前後で横ばい。つまり後述のように、ロシアの対中貿易収支は小幅赤字だ。
代わりに、小幅ながら増えているのが、旧ソ連(CIS)諸国からの輸入である。
ウクライナ侵攻前までCIS諸国からの輸入は1四半期当たり70億米ドル程度だったが、侵攻後は80億米ドル程度に、2024年には90億米ドル弱まで増加している。こうした国々は歴史的にロシアの影響力が強いため、ルーブルで決済が行われている可能性がある。
トルコからの輸入も、小幅だが増えている。こうした国々は、米欧が主導する対ロ制裁には加わっていないため、いわゆる第三国からの迂回輸出が行われている可能性が指摘されるところだ。
貿易統計のデータがCIS諸国やトルコからの迂回輸出をどのくらい反映しているか定かではないが、そうした要因も多少は含まれているのかもしれない。
最後に貿易収支である(次ページ図表3)。