住宅ローンや家賃以外のランニングコストも判断材料に

 郊外ではどうだろう。神奈川県横浜市だと50m2換算の家賃は15万円台。月額15万円を出せるのであれば、金利0.4%、0.6%だと借入額6000万円までOKなので、横浜市内で新築や中古のマンションを取得することができるはず。

 しかし、金利が1.4%に上がると借り入れ可能額は5000万円にダウンするので、マイホーム購入の選択肢は狭くなってしまう。いま以上に金利や価格が上がれば東京23区、横浜市での購入は難しくなり、さいたま市や千葉市などに目を向けなければならなくなる。さらに高くなれば、都心部よりかなり遠い郊外でないと買えなくなる。

 エリアへのこだわりがない人であれば、それでもいいだろうが、こだわりのある人は、これ以上に価格や金利が上がる前に買っておかないと、いよいよ取得は難しくなってしまう。

 かといってマイホーム取得を諦めて先送りにすると、次のチャンスがいつ巡ってくるのか分からないので、金利や価格の動向を見極めながらマイホーム取得の時期をうかがいたいところだ。

 なお、持ち家と賃貸のコスト負担を考えるとき、住宅ローンや家賃だけではなく、その他のランニングコストもチェックしておく必要がある。

 分譲住宅を購入すれば、毎年固定資産税や都市計画税がかかるし、マンションなら管理費・修繕積立金、クルマがあれば駐車場料金も必要になる。戸建て住宅でも自力で定期的にメンテナンスしなければならないので、そのための貯蓄も必要だ。

 一方、賃貸であれば入居時の仲介手数料、礼金・敷金、2年ごとの更新料がかかる。何年かすればライフステージやライフスタイルの変化に合わせて引っ越しが必要になることもあるだろう。その際は引っ越し費用などの負担も出てくる。

 そのあたりの費用についても、立地や物件の条件などに応じておおむねどの程度かかりそうなのかを調べておけば、持ち家か賃貸かの判断材料になるはずだ。

【山下和之(やました・かずゆき)】
住宅ジャーナリスト。住宅・不動産分野で新聞・雑誌・単行本などの取材、原稿制作、各種講演、メディア出演などを行う。『住宅ローン相談ハンドブック』(近代セールス社)、『はじめてのマンション購入絶対成功させる完全ガイド2022─2023』(講談社ムック)などの著書がある。