南海トラフで孤立する住宅が大量発生

──具体的に、能登半島地震で陥没を防ぐことができた可能性がある道路の事例もあるのですか。

小池:能登半島地震の道路被害の主要ケースは、「液状化」と「盛り土・斜面の崩壊」です。道路の陥没が著しい地域では、片側1車線の道路が目立ちます。無駄かもしれませんが、片側2車線の道路にできる可能性もあったと思います。また、山道では国道レベルでも道路が使えなくなっています。その主な原因は斜面の崩壊。あらかじめ土砂崩れを予想し、アンカーボルトを打ってコンクリートで固める、などの施策を打つことも可能だったでしょう。

斜面が崩壊して通行できない道路も。石川県輪島市(写真:AP/アフロ)

 たらればの原因分析には意味がありませんが、問題なのはこうした災害で道路が壊滅的な被害を被るだろうという危機は、土木関係の専門家の多くがずっと問題視していたところでした。能登半島北部以外にも、日本全国で似たような道路はたくさんあります。もし南海トラフ地震が起きたら、太平洋エリア、特に和歌山県や四国の沿岸部やそれ以外の山間地でもこれまでに見たことのない規模の被害が発生するでしょう。それは、今回の能登半島北部のように、大量の孤立エリアができてしまうという意味です。新規高規格道路の整備だけでなく既存道路の補修・補強を含めたインフラ整備は急務です。

大きな揺れで多くの建物が倒壊した。石川県輪島市(写真:ロイター/アフロ)