次に、Xは複数のダミー会社を介在させ、古物商の免許を持つ業者などに金を転売する。その値段は、1g=1万3750円前後だと言われている。

「密輸されたアクセサリーや金粉などを専門の業者に依頼し、延べ板状に“焼き直し”をするコストもかかりますが、単純計算でXの利益は、1万3750万円マイナス1万3400円で、1gあたり350円です。

 一方、中堅金買取業者に直接、金を持ち込むこともある。中堅金買取業者の買い値は、店頭買取価格から160円引きの固定だとされています。つまり、Xは1g=1万3840円で金を売却する。ただし、1回に売却できる量は2kgまでなどと限定されているようです。それは、中堅金買取業者もXから持ち込まれるのが密輸された金であることが薄々わかっているからです。なかには、もし捜査の手が伸びてきたときに備えてなのか、警察庁のキャリアOBを社外取締役に据えているところもあります」

莫大な儲け

 最終的に、密輸された金は中堅金買取業者の段階で“正規の”金へとロンダリングされ、田中貴金属などに売却される。

2019年名古屋税関が押収した、密輸のため銅に偽装された金塊(写真:共同通信社)
拡大画像表示

「Xには、少なくとも毎日50kg以上の密輸された金が持ち込まれていると目されています。となると、現在の金の相場なら少なくとも1日に1750万円の荒稼ぎをしていることになる。Xは、その資金で都内の不動産を物色したり、独立した従業員に、中国人観光客向けの“白タク”の会社を経営させたりしている。しかも、そこで使用するクルマはベンツなどの高級車ばかりです」

 言うまでもなく、国の根幹をなすのが税。「中国人金密輸団」は日本のそれを蔑ろにし、まさにやりたい放題なのである。