英ロイター通信は、中国・華為技術(Huawei、ファーウェイ)の最新スマートフォン「Mate 70」に対する消費者の熱狂が以前ほど高まっていないと報じた。米証券大手ジェフリーズ・ファイナンシャル・グループは、この状況がファーウェイの年間出荷数に影響を及ぼし、米アップルや他の中国ブランドに有利に働く可能性があると分析している。
年間出荷台数見通し、下方修正か
ジェフリーズは、Mate 70の発表後のネットにおける人々の反応を観察した結果、「以前ほどの熱狂はない」と結論付けた。オンラインレビューやコメントの頻度が減少していることがその根拠である。
2024年のスマホ出荷台数が4800万台になるとするファーウェイの予測に対し、ジェフリーズは、下方修正されるリスクが高まっているとみる。その理由として、24年4月に発売された前モデルの「Pura 70」の出荷台数が500万台にとどまっていることを挙げている。
加えて、23年に発売され、ファーウェイの高価格帯スマホ市場への復帰を象徴した「Mate 60」の販売台数は、これまでのところ1200万~1300万台にとどまっており、当初予測の1500万~1600万台を下回っている。
ジェフリーズのアナリストは、「Mate 70の最終的な販売台数は、Mate 60を下回る可能性がある」とみている。これらのことは、アップルや他のブランドにとって「プラスに働く」とも述べている。
米輸出規制による苦境克服を象徴するスマホ
ファーウェイはかつて、スマホ出荷台数で世界1位に浮上したこともあった。だが、19年に当時のトランプ米政権が安全保障上の脅威とし、同社に対する禁輸措置を講じた。同社は半導体など重要部品の供給制約を受けてスマホの生産が大幅に減少した。ファーウェイの中国におけるスマホシェアは20年半ばに29%あったが、2年後にわずか7%に低下した。