中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)が、最新AI(人工知能)半導体の量産をまもなく始めることが分かった。米エヌビディア(NVIDIA)製GPU(画像処理半導体)対抗の「昇騰(Ascend)910C」を2025年1〜3月に量産開始する。既にサンプル品を一部の中国テクノロジー企業に出荷しており、受注も始めた。
最新AI半導体の歩留まり20%
英ロイター通信が報じた。米政府による輸出規制を受けているファーウェイは、国内技術の活用によってその影響を避けてきた。Ascend 910Cは、同じく対中規制を受けている中国の半導体受託生産(ファウンドリー)最大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)が製造する。だが、SMICは最新の露光装置を利用できないため、歩留まりは約20%にとどまるようだ。
先進半導体の商業生産には70%以上の歩留まりが必要とされる。こうした状況でファーウェイの現行半導体「Ascend 910B」の歩留まりは約50%にとどまる。このため、同社は生産目標の大幅な削減を余儀なくされているという状況だ。
ファーウェイ、納期遅れで需要に応えられず
ファーウェイ製半導体の顧客には、動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の親会社である北京字節跳動科技(バイトダンス)や、IT(情報技術)大手の百度(バイドゥ)、国有通信最大手の中国移動(チャイナモバイル)などがある。
ロイター通信によれば、バイトダンスは24年にAscend 910Bを10万個超発注したが、7月時点で納入されたのは3万個未満で、ファーウェイはバイトダンスの需要を満たせなかった。他の中国テクノロジー企業も同様の納期遅れの問題に悩まされている。