学校では新入生の挨拶が行われた。開業医の娘・湯上佳純(平祐奈)は「栄養士になって人類を救いたい」とスケールの大きい抱負を披露した。元陸上選手・矢吹沙智(山本舞香)は「スポーツ専門の栄養士を目指しています」と手短に語った。

 結はこうだった。「付き合っている彼氏が野球をやっていて、プロを目指しているので、彼を支えるために栄養のことを学びたい」。福岡の糸島東高に通っていたころから交際している四ツ木翔也(佐野勇斗)が、大阪の社会人野球チーム・星河電器に所属し、プロ野球選手を夢見ているからである。

アイドル・ グループRev. from DVLに在籍中だった2014年3月、ソフトバンクホークスの開幕セレモニーで始球式に登場した制服姿の橋本環奈。右は摂津正(写真:産経新聞社)
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 結の言葉は正直だった。だが、教室内には冷ややかな空気が漂った。目標の大小が問題視されたわけではなく、極めて私的なことを出会って間もないクラスメートに臆面もなく口にしたからだ。

 結の言葉に視聴者側は笑ったり、親しみをおぼえたりしただろうか。それともあきれたか。いずれにせよ、18歳が入学時の挨拶で口にする言葉とは思いがたかった。

ヒロインの内面の変化に視聴者がついていけず

 第42回(11月26日)では翔也が結に困っていることを打ち明ける。寮生活で好きな物を好きなだけ食べてしまうため、体が思うように動かなくなったというのだ。

 結は嬉々として「うちが1週間の献立を作る」と伝えた。翔也が寮の食堂で何を食べればいいのかを結が考えるというわけである。ほほえましい話だった。

 ところが、それを自分1人でやるつもりはなかった。沙智に事情を話し、一緒につくろうと持ち掛ける。しかし沙智は「舐めとんの」と一蹴。沙智とは親しいわけではないのだから、仕方がないだろう。

 高校時代の結は誘われて博多ギャル連合(ハギャレン)に入り、パラパラを踊っていたが、内面は常識的な女性だった。何があって変化したのか。それが分からないのである。第33回(11月13日)で高1から高3に一気に時間が飛んでしまったことが影響している。

 結は時間が瞬く間に過ぎたとき、「うちらの高校時代、時間が経つのか早すぎ。一瞬で高3になった」と口にした。視聴者に向けたエクスキューズだったのだろうが、観る側にも早過ぎた。ドラマに省略は付き物だが、人格形成期のこの時期を選ぶべきだったのだろうか。