ちなみに『ウェルかめ』まで朝ドラの放送開始時刻は現在の午前8時とは違い、同8時15分。民放は同8時から情報番組を始めるから、不利な環境にあった。
放送開始時刻が現在と同じ同8時になってからの最低値は『ちむどんどん』(2022年度上期)の全回平均同15.8%。観る側の意見も全般的に不評だったのはご記憶の通り。視聴率には大多数の民意が表れる。
50代以上の女性が大量離脱
朝ドラは豪華出演陣をそろえ、民放とは違った独特で大掛かりな広報活動を展開する。それでも『おむすび』の視聴率が上がらず、評判も高まらないのはどうしてか。考察したい。
なお、あらかじめお断りしておきたいが、ドラマ評は是々非々。それが先進国の常識である。本稿が繰り返し賞賛した『虎に翼』はその後、各種ドラマ賞を受けた。『おむすび』については厳しいことを書くが、恣意ではない。
まず、なぜ世帯視聴率が低いかというと、朝ドラの最大支持層で、5人に1人は観ている50代以上の女性(F3層)が、大量に離脱したからである。ほとんど世代で観る人が減っているものの、人数の多いF3層に背中を向けられたのは痛い。
誰が観ているかまで細かく分かる個人視聴率を見てみると、『虎の翼』はF3層全体のうち22%前後が観ていた。一方、『おむすび』は17%前後に落ちてしまった。