「入った段階で餌食になることは分かっている」
──被害者の補償の申請が1000件を超えました(この内525人には補償金が支払われた)。平本さんは、この本の中で、数千人の被害者がいるであろうと語られています。
平本:僕は、ジャニーの性加害問題が再燃する前から、ずっと新たな被害者たちからの相談も受けていましたし、その実態についても聞いていました。自分が在籍していた頃と、その後を合わせて週に1人の被害者を出していたと仮定すると、50年間で、およそ2500人の被害者がいたということになる。
そして、既にデビューしている人たちは、被害を受けていたとしても、被害者として会社に申告しようとは考えない人が多いと思います。被害を申告することで干される可能性をどうしても心配してしまいますから。
そのように何らかの利害を考慮して、申告を控える人だけでも数百人くらいいる可能性があります。あるいは、自分が受けたことを性被害とは認めたくない人もいるでしょう。
「週に1人」と言いましたが、当時は毎週、新人が入ってきました。そして、入った段階で餌食になることは分かっています。これは中にいたら分かるんですよ。数カ月在籍して被害に遭わない人はいません。どうやったら被害に遭わずにいられるのか、むしろ聞きたいくらいです。
──年齢が上がってくると、ジャニーから求められることも少なくなり、それが逆に寂しくなるジュニアもいたと書かれています。
平本:今でこそ、アイドルも年齢にかなり幅があるようになりましたが、昭和から平成にかけての僕たちの世代は、アイドルは十代でデビューできなければお終いでした。山口百恵さんだって21歳で引退でしょ。だから、16歳や17歳はもう年寄り扱いでした。
ジュニアは小学生から入ってくるし、小児性愛を持っているジャニーが何を求めているか、新たに入所してくる少年たちの年齢を見れば分かる。