「初日にやられるんだよ。怖いよ」

──ジャニーズ事務所を辞めていく人たちの多くが、他でもなく、性加害がつらくて辞めていくのですね。

平本:「ダンスについていけないから辞めていく」なんてぜんぜんないですよ。そんな真面目な世界だと思ってます?

──思っていました。

平本:初日にやられるんだよ。オーディションに行きました。そのままどこかに誘われました。やられました。翌週行ったら、今度は「口でしてよ」「飲んでよ」と言われる。怖いよ。こっちもどこか狂わないととても続けられない。人間の何かを壊したような状態で、ぐちゃぐちゃになりながら、なんとか続けている状況です。

 そして、今だからこういう説明もできるけれど、その渦中にいた時は、そんなこと考えられないですよ。

──他のジュニアの方々と苦しみを語り合うこともあったのですか?

平本:慰めはしなかったですね。ほとんど笑い話にする。「おまえ何やられた?」「すげえな」みたいな。そういう話し方しかできない。一緒に泣くのもおかしいでしょ。それに、我慢のできない人は自ずと去っていく。

──性加害の厳しい要求に耐えた人ほど、デビューに近づいたのですか?

平本:もちろん、そうなります。大前提として、デビューするためにはジャニーズ事務所に在籍し続けなければならない。今のポジションをキープしなければならない。そして、上に嫌われたら終わる。

 普通の会社だったら、実績や実力で誰を大事なプロジェクトに入れるか決めますよね。ジャニーズでは当時、ダンスレッスンしかなかったけれど、もちろん踊りが上手い人と下手な人がいれば様になっているほうを選ぶけれど、踊りが上手い人ばかりが選ばれているかというと、そんなことはなかった。

 顔やスタイルだって、実はけっこう幅がある。韓流アイドルグループなんかは、もっと外見やパフォーマンス力に統一的なレベルがありますよ。

 もちろん「それぞれの個性を活かした」という面もあったとは思います。SMAPなどはバランスよく構成されている。でも、それは結果論という印象もある。