殉教者と崇めた「トランプ・カルト」

 トランプ氏の勝因は、同氏のカリスマ性と歯に衣を着せぬ「本音」にある。トランプ氏支持基盤は過去8年間に築き上げた忠誠心の塊だった。

 まるで新興宗教の教祖に対する忠誠心に匹敵した。反トランプのコラムニストはそれを「カルト集団」といった。

 トランプ氏は2度にわたって暗殺未遂に遭遇したことで「神様が送り込んだMartyr(殉教者)」と崇められている。

 こうした背景には不法移民の大量入国で職を奪われた白人労働者、いっこうに良くならない生活環境に対する鬱積した不満があり、それがトランプ政権で一気に解消するのではないのか、という期待が膨らんでいた。

 ブルームバーグのコラムニスト、ティモシー・オブライエン氏はトランプ氏が「恐れているもの」として以下の8つを挙げている。

一、ウォーク(Woke):不公平、不平等、差別に高い意識を持つ東、西部エリートたち

二、グローバル・ビジネス、国際主義的外交

三、(行政府に介入されない)連邦準備制度委員会(FRB)

四、中国(ロシアではなく)

五、有権者

六、移民(不法、法的移民、不法労働者)、有色人種

七、女性、人工中絶、カマラ・ハリス

八、法執行機関(警察権力)、教育機関(特に高等教育機関)、メディア、(財政支出の)大きな政府、大都市、気候変動論者、社会的規範・礼節、コロナ感染防止措置

Trumpism Has Deep Roots in American History, and It Will Outlast Trump - Bloomberg