国会を動かすリアルな力を得た立憲
野党第1党と第2党の議席差も大きく変わった。
前述したように、2012年の野党第1党・民主党と、野党第2党・日本維新の会の議席差は、わずか三つだった。「野党第1党と第2党の入れ替わり」は、この時点では一定の現実味があった。
しかし、維新の衆院選での議席数は、実はこの選挙がピークだった。
維新はその後、2014年44議席→2017年11議席(野党第2党は希望の党の50議席)→2017年44議席、そして今回の38議席となる。立憲との議席差は、110議席と大きく広がった。
自民党と野党第1党たる立憲民主党の議席差が大きく縮まり、一方で野党第1党の立憲と第2党の維新の議席差は大きく広がった。
少なくとも立憲が「1強多弱」から抜け出し、自民・立憲を軸とする「2強多弱」時代が幕を開けたのは間違いない。
これを認めたくない識者やメディアは、28議席と議席を伸ばした(それでも維新よりさらに10議席少ない)国民民主党の「躍進」にすがっている。だが、国会が動き出せば、そんな状況は大きく変わるだろう。
国会を動かすリアルな力は、あくまで「議席数」だ。
議席を大きく増やした立憲には、衆院の常任委員会や特別委員長のポストが、多く与えられる。
本会議の議事日程などを決める議院運営委員会や、国会の「花形」と呼ばれ、予算案の扱いを決める予算委員会で立憲が委員長を握れば、自民党はこれまでのように「多数の横暴」で議事を押し通すのは難しくなる。
立憲が委員長を握った委員会では、これまで自民党にたなざらしにされてきた野党提出の議員立法が審議される可能性も出てくる。
例えば、立憲が衆院法務委員会の委員長を握れば、選択的夫婦別姓を導入する民法改正案が国会で審議され、野党に加えて自民党の一部からも賛同者が出て成立する、といったことも、可能性としては起こり得るのだ(さすがに自民党はそれを避けようとするだろうが)。
自民党は「国民民主党を抱き込んで連立の枠組みを拡大すれば、これまで通り与党の思うがままに国会運営ができる」という状況ではなくなっている。
そんな「古い政治」は通じない。いやでも立憲を中心とする野党勢力の主張に耳を傾け、丁寧な国会運営をせざるを得ない。
国会の風景が変わるのだ。