「政権を担える勢力」としての使命は大きくなっている

 だからこそ、立憲の責任は重大である。

 実は筆者は、今回の選挙結果を受けて「自民党の下野、立憲への政権交代」まで起こすことは、まだ必要ないのではないかと考えている。

 148議席という数は、安定した政権政党となるには、正直まだ心もとない。

 それに、立憲が理念も基本政策も違い、政権運営への責任感も持たない中小政党を無理やり結集させて、一時的に過半数を得て政権を奪取したとしても、衆参で「ねじれ」となる国会を安定して運営するのは難しく、政権は早晩瓦解するだろう。

「非自民」勢力の目指すものがバラバラで、まともな政権運営ができなかった「平成の政治」を繰り返しかねない。

会談に臨む(右から)立憲民主党の笠国対委員長、小川幹事長、野田代表、国民民主党の玉木代表、榛葉幹事長、古川国対委員長=5日午後、国会(写真:共同通信社)会談に臨む(右から)立憲民主党の笠国対委員長、小川幹事長、野田代表、国民民主党の玉木代表、榛葉幹事長、古川国対委員長=5日午後、国会(写真:共同通信社)
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 むしろ立憲は、国会の主導権を一定程度取り戻したことを、いかに政治的に有効に使うかを考えるべきだ。

 政権監視と批判はもちろん重要だ。それが野党の役割だからだ。

 自民党の石破政権は、裏金事件への対応をはじめ、批判されるべきことを山ほど抱えている。「批判ばかり」とやゆされても、ここは決して手を緩めてはいけない。

 だが、立憲は今回の選挙の結果「自民党に代わる政権の担い手として期待される存在」であることを、明確に認知された。その期待に応える使命は、以前にも増して大きくなっている。