クルマのソフトもOSもバラバラ、ハードル高いのでは?
目的としては、「交通事故ゼロ」であり、市街地・交差点での「出会いがしら事故」の防止や、地方・郊外での自動運転サービスでの活用、そして高速道路でのスムーズな合流などだ。
モビリティAI基盤の構成要素としては、分散型計算基盤(データセンター)、インテリジェント通信基盤、そしてAI基盤の大きく3つを挙げた。
順に説明すると、クルマや道路側インフラなどから得られる膨大なデータを処理・解析するため、分散型計算基盤(データセンター)を全国各地の再生可能エネルギーが豊富な地域に立地させる。
次に、大容量のデータを低遅延で、かつ信頼性を高めて通信できる、インテリジェント通信基盤を構築する。
その上で、分散型計算基盤とインテリジェント通信基盤を土台にして、ひと・モビリティ・インフラからの多様なデータを学習・推論するモビリティAIを実現するという考え方だ。
こうしたモビリティAI基盤をまずは日本国内で標準化したいとし、トヨタとNTTは今後、自動車メーカー各社と2030年以降の社会実装に向けた交渉を進める。将来的には、NTTが得意とする欧米など海外での事業展開や標準化についても検討するという。
確かに、社会全体の中でモビリティの利便性を高めるには、通信による新たなデータ基盤が必要であることは理解できる。
だが、筆者が直近で各方面への取材をする中で、クルマと道路・社会を通信でうまくつなぐための地ならしができているとは言い切れないと感じている。自動車メーカー各社の車載ソフトウェアやOS(オペレーティングシステム)に違いがあったり、高速道路事業者ぞれぞれが近年中に社会実装を目指すV2X関連機器に関する標準化のめどが立っていなかったりと、課題は山積みだ。
特に、モビリティAI基盤の標準化については、国が主導して自動車・道路・通信の業界全体で義務化するような大きな動きが必須のはずだ。